公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

ハキダメギクを調べる

1016日(金)

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試料

 植物の名前には不思議な名前、いや、気の毒な名前がある。ハキダメギクもその一つである。名前からして分かるように、あまりきれいでないところに分布している。この花を図鑑で調べた時、コゴメギクと出ていたので、コゴメギクとばかり思っていた。ところが、後日再び図鑑を広げると、全く同じに写真にハキダメギクと名前がついていた。「どうしたのかなぁ」と思い、再度コゴメギク、ハキダメギクを引いてみると、別々に同じ写真が載っていた。「名前が違う」ということはどこかが違う。
 しかし、長い間この問題に取り組むことをしていなかった。この花を見ると、「ああ、ハキダメギク」と決めていた。何となく深く考え込むことを避けていたようだ。10月初め、もう見られないのではと思っていたハキダメギクが偶然目に留まった。ハキダメギクと言っても、まだ確信がない。「調べて見よう」という切掛けになった。
 思い出すと、過って1度調べ始めたことがあった。

 キツネノマゴに混じってハキダメギクが見える。この小さな花を、ハキダメギクと見ているが、実はコゴメギクとの区別がつけられていない。
コゴメギクには舌状花に冠毛がない、筒状花の冠毛は先が尖らず・・・
 
 舌状花、筒状花の冠毛を調べると、手掛かりが得られることが分かった。
花は花径が5mmと小さい。その中に舌状花、筒状花が納まっている。そこから舌状花を取り出し始めた。舌状花は白色で、花びらの先が3つに割れている。花びらをピンセットで摘まんで取り出してみた。花弁が切れてしまい、冠毛がついていない。もっと深めにピンセットを入れ、取り出した。花びらの下の方は緑色で、冠毛の姿はない。調べて見ると、舌状花は総苞片と苞に挟まれていることだった。苞から取り去ることにした。ところが、細かくて作業が進まない。双眼実態顕微鏡などがあれば、拡大したもとで作業が出来るが、そういうものはない。ルーペで見て、手探りの作業である。針で数回かき回したところ、苞が外せた。と同時に花弁も取れてしまった。何度試みても花びらが取れてしまう。花弁には冠毛がついてこない。「冠毛は無い」と思えたほどだった。「冠毛は抜けたのでは」と思い直し、抜け殻を見た。冠毛らしきものが見えたので写真を撮り確認した。冠毛に間違いない。大きさなどは測れない。果実の半分の長さもないほどだ。
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解体中

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花弁が取れてしまう

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花弁の抜け殻:冠毛が残される
 
  筒状花も同じようにピンセットで摘まんで取り出した。筒状花は冠毛がついたまま簡単に取り出すことが出来た。冠毛は筒状花より幾分短いくらいである。
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筒状花と冠毛

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筒状花と冠毛
 
 舌状花、筒状花の冠毛がようやくとらえることが出来たと思い、再度全部の写真を見直してみると、現地で何の道具もなく、分解して撮影した写真の中にいい写真が納められていた。冠毛が鮮明でないが、この写真が一番よさそうだ。 
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舌状花に花弁と冠毛がある
 
 コゴメギクの舌状花の冠毛は非常に短いという。また、ハキダメギクの冠毛の先は尖るという。最初、「冠毛の先がとがる」という意味がよく呑み込めなかった。いろいろな写真を見ているうち、先が糸のようになっていることではないかと思えるようになった。試料の冠毛見ると「冠毛の先がとがる」といえそうに思てきた。
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冠毛の先がとがる  

 以上のことから試料はハキダメギクになることが分かった。ただ、そうすると、コゴメギクを探す必要性が出てきた。


撮影:10月4日


  記  平成271015日(木)