弥山「アラカシ、ウラジロとコシダ、カゴノキ、シキミ、ホウロクイチゴ」
12月9日(日)
シラカシかアラカシかと思われる高い樹が現れて来た。ここへ来るまで、1度は坂道で、2度目は大木を見て来たが、シラカシかアラカシか判定が難しかった。この高く伸びた樹の葉は、幅が広く、粗い鋸歯があることが確認でき、アラカシと分かった。やはり、中国地方では関東地方のシラカシに代わって、アラカシが多いようだ。
アラカシ
アラカシの葉
山を上り始めると、シダの群生が頻繁に出現してきた。このシダは何という名前なのだろうか、最近シダをかじってきたが、まだ浅学なので、ほとんどのものが分からない。あまりにも広範囲に群生しているので、何を手掛かりしたらよいか迷ってしまった。取り敢えず写真だけ撮っておき、後日検討することにした。
下記の資料を見ると、「林床には陽生(ようせい)植物のコシダやウラジロが密生(みっせい)する傾向があります」とあった。そこで、この2つのシダについて調べていくと、意外なことが分かってきた。写真をよく見直すと、2種類のシダが写っており、多くがウラジロで、隠れるように見えているのがコシダに見えて来た。ウラジロは正月に玄関に飾るので、身近なシダである。しかし、よく見たことがなかったので、特徴などは理解していなかった。
宮島の植生 宮島の植物と自然
ウラジロの羽片の表面
ウラジロの羽片の裏面:灰白色をしている
コシダ
灰色の地に濃黒褐色の斑点が入り混じっている幹が見えた。この幹を見た時、カゴノキではないかと思った。この幹は、こちらへ来た時、時々目にしていた。葉を確認したかったが、高いところにあるので、確認することが出来なかったのが残念だった。
カゴノキ
この葉は、先ほど迷った樹の葉に似ている。12月7日の段階では、葉の形からモッコクに近いと判断したが、葉柄や冬芽が赤くないので、課題にしておいた。以前、弥山でシキミを見ていたので、もう1度見直して見た(資料1)。資料1の時は花が咲いていたが、今日は花がない。手掛かりは、さじ型の形をした葉である。資料2を見ると、葉の形、冬芽などがよく似ている。更に、幹を注意して見ると、資料2の幹の写真と似ているように見えてきた。まだ不確かだが、シキミの可能性が高くなったようだ。
シキミ
シキミの冬芽
シキミの幹
見下す崖に、大きな葉が見えてきた。この葉は、以前ここへ上ったとき、大繁茂していた(資料)。その時の記録を見ると、ホウロクイチゴと記録していた。牧野新日本植物図鑑によると、「本州中部以西の暖地の海岸地方の山地にはえる丈夫な常緑の低木」とある。弥山はこの条件に合っている。更に、語源を見ると、「核果が集まって、内部が空洞になっており、逆さにすると、ほうろく鍋の形になるからである」と説明されている。今迄見てきたのは葉だけなので、花や果実を見たいと思っている。
ホウロクイチゴ
撮影:11月26日
記 平成30年11月29日(木)