丸亀城「菊花展とハゼノキ、ノグルミ、アラカシ」
11月8日(木)
丸亀駅に降りると、明るく視野が開けていた。高い建物がなく、遠くの空気が近寄って来て、遠くへ去っていくような大らかな雰囲気が感じられた。
晴天の中を、丸亀城へ向かって進み出した。町の中は道幅が広く、都会のようなごみごみした空気は漂っていない。京極通りから市役所前へ来ると、正面の山の上に丸亀城が見えてきた。城はどこでも高いところにあるが、ここも随分高そうに見えた。
城の境内へ入ると、今日は菊花展が開催されていた。大輪の菊が展示されているテントを見ていくと、テントの脇に出展者の個人名が書かれており、1つ1つのテントの中には沢山の大輪の菊が見事に咲き誇っていた。一人で、これだけの数を出品しているのが分かり、驚いた。
大輪の菊
展示品の中には、マツの盆栽のように仕立てられた菊があった。岩と菊を組み合った盆栽を見ると、とても菊とは思えなかった。大輪は茎が太く、花も大きい。それに対し、菊の盆栽は斜めになったもの、曲がったものといろいろな茎があり、花はみな小花である。「こういう菊があるのだなぁ」としみじみ観賞した。
小菊の盆栽
坂道を上り始めると、樹々に覆われ、周りは薄暗くなってきた。左側にハゼノキと記名された樹が見えた。幹を見ると、樹皮が剥がれそうになっている。このような幹をした樹木はいろいろある。上空の葉を見ると、葉は奇数複葉で、細長の小葉を見ると、ハゼの特徴を示している。更に、枝には小粒の果実が房のように釣り下がっている。これらの特徴からこの樹がハゼノキと分かった。
ハゼノキの幹
ハゼノキの葉と果実
更に坂を上っていくと、ハゼノキと同じ幹をした樹が現れ、ノグルミと記名されていた。クルミの仲間では、オニグルミ、サワグルミ、シナサワグルミ、ヒメグルミと見て来た。ノグルミ初めて目にする樹である。暗いので、露出を調整して写真を撮ったが、鮮明でなく、詳細は分かり難い。牧野新日本植物図鑑によると、「ノグルミは本州西南部の温暖な地方山地の陽当たりのよい土地に生える」とあり、関東では見かけないことが分かった。下記の資料1によると、「果実は堅果。果穂は・・・卵状楕円形で、苞が密に重なる。」と説明されている。この堅果、果穂の意味が分からないので、調べると、堅果については、資料2で、「かたく乾燥し、熟しても裂開しない果実」とあった。果穂(かすい)については資料がなかなか見つからず、資料3がやっと見つかった。それには、「果穂とは、種子を抱いた果苞(葉が変形したもの)が房状になったものです。」とあった。写真の褐色で、マツカサ状のものが果穂になると分かって来た。
ノグルミの幹
ノグルミの葉と果実
高浜虚子の句碑
西日本にはアラカシの樹が多い。この樹は関東のスダジイ、シラカシに似た樹で、葉の幅が広く、葉の上の縁に荒い鋸歯がある。ここへ来る間にも何本もあったが、ようやくここで写真を撮った。丁度果実があったので、望遠写真を撮ると、果実の脇に冬芽が写っていた。写真を見ると、果実、冬芽ともシラカシよりは丸みがあるように見えた。
アラカシ
アラカシの果実
撮影:10月29日
記 平成30年11月6日(火)