公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

萬翠荘の庭園「ヒサカキの強い臭い」

323日(金)
 
 大街道で路面電車を降り、横道へ入って行くと坂の上の雲ミュージアムがある。「坂の上の雲」は司馬遼太郎の作品で、ドラマ化されたものが2009年から3年間NHKで放映され、記憶に新しい。坂の上の雲日清戦争日露戦争の様子を、従軍した秋山兄弟と従軍記者として赴いた正岡子規に焦点を当て物語化した作品である。
イメージ 1

 坂の上の雲ミュージアムから少し小高いところに洋風の建物が見える。豊富な緑に囲まれ、引き立って見える。萬翠荘といわれ、旧松山藩主の子孫が大正11年(1922年)に別邸として建てたフランス風の美しい建造物である。大正の時代にこのような豪華な建物をつくった財力に驚くばかりである。
 イメージ 2

 萬翠荘の庭へ出ると、何か撮影している雰囲気が感じられた。カメラの先を見ると、2階のベランダにマスコットのみかんちゃんが笑顔で手を振っていた。地元のテレビ局のロケかも知れない。
イメージ 3
 マスコットのみかんちゃん

 萬翠荘の庭園へ出ると、土手にピンク色の花が見えた。ウメとサクラが咲いている時期なので、遠くからの判断は難しい。近づいてみると、花は花柄がなく、直接枝に付いていた。この様子からこの花はコウバイの1種と分かった。
イメージ 4
 コウバイの1

 同じ土手を見ると、一列にサクラの樹があり、蕾を持っていた。未だ開花していないので、恐らくソメイヨシノではないかと確かめた。蕾を見て、一瞬「この蕾はソメイヨシノだろうか」と自信がなかった。蕾を見ながら少し考えた。萼筒には膨らみがなく、先は真っ赤で、内側に微かにピンクがかった花弁が見えている。更に萼筒の根元を見ると、開出毛が見えた。この姿からやはりこのサクラはソメイヨシノと考えられるが、萼筒の毛の量から考えると、ツバキカンザクラの可能性もある。
イメージ 5
 ソメイヨシノorツバキカンザクラ

 日が射し暖かい崖に紫色の濃い花が点々と見えた。「もう、キランソウの咲く時期になったのか」と思い、過去の資料を見直した。すると、昨年は323日に見たことが判明した。やはり、キランソウの咲く時期になったことに納得した。「この花は唇形花で、上唇は小さく浅く2裂し、下唇は3裂し、中央が大きく、先が浅く3裂している」ことを確認した。なかなか面白い形をしている。
イメージ 6

 暖かい空気に触れ、崖の草木を見ていると、汗ばんできた。日陰がないだろうかと思っていると、丁度下にあずまやがあった。ここで熱さをしのぎ休憩をとった。あずまやの陰にオニタビラコ1株あり黄色い花を付けていた。オニタビラコ1年中見られる花なので、珍しくないが、今咲く花には春を感じる。
イメージ 7
あずまや

イメージ 8
 
 出入り口まで来ると、プーンと嫌な臭いが漂ってきた。入る時も強い臭いがし、気になっていたので、どの花が臭いを発しているのか探してみた。すると、発生源はヒサカキと分かった。ヒサカキは今まで何度も見てきているが、これほど強い臭いを感じたのは初めてである。花弁は淡黄色で5枚。基部はわずかに合着している。
イメージ 9

イメージ 10
 ヒサカキの花

撮影:313
 
  記  平成30320日(火)