公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

舞岡公園「ヤブソテツ、ベニシダ、ジュウモンジシダ」

927日(木)
 
  今日は外の駐車場から下へ行くコースを進んでみることにした。以前1度だけこの下へ降りたことがある。その時は偶然ギンランが咲いており、感激した。今日は主にどんなシダがあるか見ることを考えていた。階段を12段降りると、ここはもう街中の環境とがらりと変わり、沢山の樹々に囲まれている。車の騒音がなく、空気が新鮮で、快適な気分になる。
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 左:カエデ  中央:コナラ

 早速、左側の崖にシダが現れて来た。左側の下にヤブソテツ、右上に見えるのはベニシダと思われる。
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 左側:ヤブソテツ 右上:ベニシダ

 ヤブソテツを見た時、「葉身が長いなぁ」と思った。羽片の数を数えると、18対あった。下記の資料によると、ヤブソテツは、「側羽片は、幅狭く、20対前後」とある。一致していると思う。柄が20cm、葉身が55cmと圧倒的に葉身の方が長い。小羽片は長さ7cm、幅2cmほどであった。
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ヤブソテツ

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胞子嚢の分布

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 柄の鱗片

 これはベニシダになる。この崖に見えるシダの多くはベニシダに見える。ベニシダは何度も見てきているが、まだ迷うことがある。ベニシダの特徴については下記の資料で書いていたので、復習しながらこのシダを見直した。大きさは柄が27cm、葉身が40cmで、葉身の方が長い。葉身は2回羽状複葉に近い形をしている。葉軸、羽軸とも暗緑色をし、中軸には鱗片が付いている。小羽片の先端は丸みがあるが、縁には鋸歯がる。胞子嚢は中肋寄りに分布している。
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ベニシダ

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ベニシダ:胞子嚢の分布

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 ベニシダの柄

 羽片が細く、長いシダが見えてきた。これほど羽片が長く伸びるシダは初めて見るように思える。何を手掛かりに検索したらよいか、皆目見当がつかないので、下記の資料の写真をはじめから見ていくことにした。羽片の形の似ているものを探していると、「フジシダ」が似ているように見えた。しかし、羽片の先を見ると尖っていないので、違うと思った。更に、胞子嚢の分布を見ると、フジシダは辺縁寄りで、試料は羽軸と辺縁の中間に分布しているので、明らかにフジシダではなくなった。
 次に、「ヌリトラノオ」の仲間が似ていそうなので、当たってみたが、これも羽片の先を見ると尖っていない。更に胞子嚢は円形でなく、線形なので、明らかに違うことになった。
 次に、「オサシダ」にあたってみたが、やはり該当しなかった。
 最後に羽片が長く伸びている「ジュウモンジシダ」にあたってみた。すると、羽片の形が今までの中で一番よく似ていた。ジュウモンジシダは何回か見ており、名前は知っていた。このシダの特徴は、葉身が十の字形をしているが、横の棒より縦の棒の方がはるかに長い、最下羽片付近を見て確認すると、確かに十の字形になっていた。何枚か写真を撮っていたが、縦の細長い葉身に目が行き、この十の字形に目が行ってなかった。更に、胞子嚢の分布を見ると、資料では、羽軸と辺縁との中間に分布していて、試料と一致していた。遠回りしたが、何とか、ジュウモンジシダへ到達することが出来た。
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ジュウモンジシダ

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最下羽片:十の字形をしている

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柄の鱗片

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胞子嚢の分布

撮影:918

  記  平成30924日(月)