公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

自然生態園「カゼクサ、シロバナサクラタデ、ベニシダ」

95日(水)
 
  これはカゼクサではないだろうか。まだ穂が少なく、注意して見ていないとその存在に気が付かない。以前、カゼクサの細長い葉の中央に凹んだ溝が見られ、裏側では凸型となっていることに注目した(資料1)。この草の葉を見ると、この特徴が見られる。更に葉の付け根を見ると、沢山の毛がある。この点もカゼクサの特徴になる。1本の花序が付いていたので、写真を撮って拡大して見直した。小穂には5個ぐらいの小花が入っていて、花をつけていた。資料2では、「花序は円錐形…紫褐色を帯び光沢がある」とあるが、写真では薄らと色づいている。
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カゼクサ

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カゼクサ:鞘口

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カゼクサ:小花

 
 真夏の最中なので、期待したほどの花数がなかったが、時期のものを捉えることが出来た。ここの自然生態園を出て、再び湿地帯のシロバナサクラタデを探した。先程はなかなか見つからず、あきらめたが、根気よく探すと2株が花をつけていた。花を見てほっとした。しかし、この花の撮影が難しい。この花のように白くて小さい花は中々鮮明に撮影できない。しかもここは暗いところで、余計撮影が難しい。オートでフラシュ撮影すると、花は真っ白になってしまう。露出を調節して撮影すると、今度焦点が合わせにくい。何枚か撮影し、この写真が得られた。下記の資料1によると、「シロバナサクラタデは雌雄異株で、雌花では花柱が花被より長く、雄花では雄しべが花被より長い」と記述された。すると、この花はどちらになるのだろうか。資料1を頼りに花を見た。この花は雄しべが長く出ているようなので、雄株になりそうだ。また、下記の資料2では、「雄蕊は通常8個、雌蕊は1個で柱頭は普通3岐、ときに2岐する」とあったので、雄しべの数を数えてみた。7本までは数えられたが、8本は確認できなかった。また、中央の下の方に短いものが数本見える。これは雌しべになるのだろうか、詳しくは分からない。この脇にこの花に似たサクラタデがあるのだが、花は咲いていなかった。
資料2
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シロバナサクラタデ

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 シロバナサクラタデの花

 帰りはこの湿地に進んで行った。周りは大きな樹だ囲まれているので、この辺りは薄暗くなっている。この部分だけを見ると、このすぐ隣に学校があり、高いマンションがあるとは思えない環境である。市が緑の宝庫として残したことは正解であった。
 薄暗く、見難いが、このシダはベニシダになると思う。何度もベニシダを見ているが、いまだにイノデとの区別が直ぐに出来ない。羽片を見ていたのでは分からないので、すぐに柄に目をやった。イノデは三角形をした大きな鱗片が密集しているが、ベニシダはそのような鱗片ではなく線状をしている。見ると、鱗片は線状であるので、このシダはベニシダになるようだ。羽軸、中肋を見ると、青黒い溝が見られる。また、小羽片の縁は鋸歯が見られ、最下羽片の下側第1小羽片は小さい。この小羽片が無柄というが、正確には捉えなかった。胞子嚢は中肋と辺縁の中間かやや中肋寄りに分布していることが分かる。
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ベニシダの柄

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ベニシダ:羽片の表面

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ベニシダ:胞子嚢の分布

撮影:826

  記  平成3093日(月)