公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

自然生態園「キツネノマゴ、ベニシダ?かそれともトウゴクシダか?」

831日(木)
 
 緑道を抜けると、広場へ出た。広場は太陽が照り付けていて暑い。ゆっくり草でも見ようと思っていたが、一つのところでじっと見ていることは出来ない。見渡すと、太陽が照り付けているところはメヒシバ、シマスズメノヒエが大半を占めている。草原を足早に突き抜け、日陰に入った。ここでも熱気が感じられる。日陰を見ると、ぽつぽつンと紫色の花が咲いていた。すぐキツネノマゴと分かった。池へ近づいていくと、キツネノマゴは数を増し、広くはないが一角を占める程沢山咲いていた。花は穂状になったところに小花が付いている。沢山あるように見えるが、1つの穂を見ると咲いている小花は12個と少ない。小花は唇形花で、上唇は先が細くなり、先端が浅く2つに裂けて、屋根のように曲がっている。下唇は楕円形で広い。先は3つに裂け、奥に白色の模様が見られる。2本の雄しべは上唇の内側に張り付くように伸びている。雌しべは確認できなかった。
イメージ 1
キツネノマゴ

イメージ 2
キツネノマゴの小花

イメージ 3
 キツネノマゴの小花

 せせらぎの土手に大きなシダが見えてきた。葉身は2回羽状複葉で、最下羽片を見ると、下側の第1小羽片が一回り大きくなっており、羽片の表面を見ると、裏側の胞子嚢が大きくなっているせいか、凸になった部分が点在している。中軸、羽軸お表面には小さな鱗片が密生している。小羽片の裂片の先は棘状になっている。胞子嚢は円形で、小羽片の中肋と縁の中間付近に分布している。柄と葉身を計測すると、柄が55cm、葉身が68cmで、葉身が大分長くなっている。最初、イオデではないかと思ったが、柄の鱗片を見ると、三角状をした大きなものではないので、イノデではないようだ。
イメージ 4
試料:このシダの名前は?

イメージ 5
最下羽片の第1小羽片が一回り大きい

イメージ 6
 柄の鱗片

 イノデでないとすると、ベニシダになる。ベニシダの最下羽片の下側第1小羽片は小さいのだが、試料は逆に大きい。柄と葉身の長さの関係、鱗片の様子はベニシダになるが、この最下羽片の下側第1小羽片の大きさが矛盾している。
イメージ 7
ベニシダの最下羽片の下側第1小羽片:小さい
 
 胞子嚢の分布を見ると、ベニシダは小羽片の中肋寄りに分布している(資料)。しかし、試料は小羽片の中肋と縁の中間付近に分布している。この点も矛盾しているように思えたので、調べ直した。牧野新日本植物図鑑を見ると、「胞子嚢群は円形で、葉の縁と中脈の中間にまたはやや中脈に近寄ってつく」とあった。「中肋寄り」とばかり思っていたことが間違っていることに気が付いた。胞子嚢の分布はベニシダに合う。
イメージ 8
ベニシダ:胞子嚢の分布(8/15撮影)
 
 試料の最下羽片の下側第1小羽片の大きさだけがベニシダと一致しない。ベニシダの仲間で検索すると、下記の資料が出てきて、その中に、この小羽片が「同長か長い、よく切れ込む」ものとして、トウゴクシダが挙げられていた。そこでトウゴクシダを当たることになった。
 
 下記の資料でトウゴクシダを見ると、最下羽片の下側第1小羽片の大きさについて「後側第小2羽片より短いか同長」となっており、先程の資料と一致しない。
 
 次に、下記の資料を見た。こちらだと、「最下羽片の下向き第1小羽片は長く、浅裂~深裂し、短い柄がある」と説明されており、第1小羽片が長いと説明されている。写真は試料と似ている。
 
 牧野新日本植物図鑑では、最下羽片の下向き第1小羽片には触れられておらず、「関東以西の暖地の山地に生える・・・」とある。
 
 試料はトウゴクシダの可能性が出てきたが、まだ断定が出来ない。後日更に検討したい。

撮影:826

  記 平成30829日(水)