舞岡公園「アゼムシロ、ミゾカクシが咲く」
6月19日(火)
園道で思いがけなくクマノミズキを見ることが出来た。次にネムノキ休憩所を目指した。ここのネムノキは舞岡公園の中で一番大きい。既に各地の公園でネムノキの花を見てきているので、開花を期待していた。ところが、ネムノキは蕾のままであった。舞岡公園は他の公園より開花が遅いようだ。
ネムノキ
ネムノキの蕾
ネムノキ休憩所でひと休憩をし、残りの畦道を進んで行った。ケキツネノボタンが咲いていた。既に花期が過ぎているのに珍しい思った。毛のないキツネノボタンがあるようだが、見かけるものにはみな毛があり、キツネノボタンは見ることがない。この花に似たものに、タガラシやウマノアシガタなどもあるが、キツネノボタンと同様、殆ど見かけることがない。若しかしたら気が付いていないのかも知れない。
アゼムシロ(ミゾカクシ)が見えた。この花を見た時、随分特徴的な形をした花と思った。昨年の資料(資料1)を振り返りながら考えた。この花は、横に開いた2枚を上唇、3枚が組になったものを下唇とみる唇形花になり、下唇の奥には黄緑色の斑紋がある。花弁については分かったが、雄しべや雌しべについての疑問が残された。花弁の根元を見ると、短い柱が立ち上がり、黒味がかった先が曲がっている。資料2、資料3、資料4によると、ここが、雄しべ、雌しべになる。この花には、雄性期と雌性期があり、最初は雄性期で、雌しべを取り囲んでいる雄しべが発達してくる。雄しべが花粉を飛ばした後、雄しべに囲まれていた雌しべが発達し出すという。黒味がかった先に出て来た白色のものが雌しべの柱頭になるようだ。雄性期と雌性期の発達をずらすことによって、自家受粉を巧みに避ける仕組みになっている。小さな花だが、調べてみると、自然の神秘的な巧妙さに吃驚させられる。
アゼムシロ(ミゾカクシ)
アゼムシロ(ミゾカクシ)の花
畦道にトキワハゼが見えた。トキワハゼとみているが、ムラサキゴケとの違いがよく理解できていない。先日、古民家の庭と四季の森公園でムラキゴケを見て、確かに匍匐枝を出しているところを見ることが出来た。しかし、ここでは匍匐枝がよく分からない。匍匐枝の有無以外にこの2つを見分ける方法はないものかと思い、牧野新日本植物図鑑の図を見ていると、ムラサキゴケの図には根生葉が見えた。説明では「茎は短く、葉を根際に群生し・・・」とある。一方、トキワハゼについては、「根際の葉の間から数本茎を直立し・・・」と説明していた。この根生葉の様子からも判断できそうに思えてきた。
トキワハゼ
ムラサキゴケの匍匐枝(2018/4/26)
ムラサキゴケの匍匐枝(2018/5/5)
トキワハゼの根生葉
ムラサキゴケの根生葉(2018/4/26)
水田の淵にチガヤが並んでいた。チガヤは柔らかな毛が密生しているのが特徴である。この密生する毛を見てチガヤと判断してしまい、より深くは考えていなかった。小花を1つ採り出してみた。中央から褐色の羽根毛みたいなものが2本出ているのが分かる。これは雌しべの柱頭で、柱頭の下の子房は果実に変わっている。雄しべや葯を探したが見つからなかった。花粉は飛び去った後らしい。
チガヤ
チガヤの小花
水路を挟んだ反対の藪を見ると、花を終えたガマズミが並んでいる。昨年剪定され、花の位置は高くなってしまったが、昨年よりは花が咲いたと記憶している。枝は上を向き、その先に扁平な果実をつけている。樹形はミズキを小型にした形に似ている。
ガマズミ
水田からばらの丸の丘へ上がってきた。この丘で気になっているのは、もみじ休憩所にあるナツツバキである。三ツ池公園で花が散り始めていたので、気になっていた。見ると、花が残っており、花、蕾、果実が混ざっていた。未だ花が咲いてくるが、峠は越えたようである。
ナツツバキ
ナツツバキの花
撮影:6月8日
記 平成30年6月16日(土)