ウツギの果実と茎の断面
12月17日(土)
古民家へ入った。大きな農家の家で、ここへ入ると何時も気持ちが落ち着く。ここではボランティアの人が何時もいて、何か作業をしている。時々若い人も見かける。
今日はいつもと違って裏の方から入った。右方向へ進むと炭焼き小屋がある。ここは左に曲がって、何時もの逆のコースを進んだ。
クサギの樹を見ると、もう、果実や葉がない。今ままで、ここに「クサギの樹があった」と知っていなければ、クサギの樹とは分からなくなってきた。冬芽と幹を見た。冬芽は濃い紫色をしていて小さいので特徴が捉えられなかった。接している葉痕が大きく目立つ。写真は焦点が合っていないが、維管束痕が7つぐらい数えられる。いままで幹に注意を向けていなかったので、特徴を掴むことにした。木肌は灰色で、暗灰色をした粒状の皮目が縦方向に波を打つように流れている。
クサギの冬芽
クサギの幹
すぐ前にミツマタがある。外側の芽鱗が開き、中の蕾が見え出してから間もない。冬芽には大きな変化が見られなかった。現れた小さな蕾を見ると、すでにたくさんの毛で覆われている様子が分かる。花は寒い時に咲く。その時のためにこの毛皮で花芽を守っているのだろう。自然の仕組みの神秘さが伝わってくる
ミツマタの蕾
この写真は、古民家の裏にある小さな沼を囲む風景である。殆どの樹が葉を落とし、カエデなどが僅かに紅葉を残している。冬を迎えた寂しい景色である。
小さな沼を囲む風景
表庭へ戻ってきた。何時もは、ここの庭を通ってから裏へまわっている。見るものもあまりないので、この庭にも寂しさが感じられる。庭の隅に、ユズリハの樹がある。普段はこの樹を見ることがない。今日は何となく、枝の赤味に目が惹かれた。名前の通り、新しい葉が出始めると、旧い葉は役目を終え、落ちる。そして、交代する。植物名には由来が不明な名前が沢山あるが、ユズリハなどは分かりやすい素直な名前である。
ユズリハの冬芽
古民家を一巡して、田の畦道へ戻った。樹の1つ1つの名前が分かれば、楽しい散策になるが、まだその域へ到達できていない。歩いていても、この樹は何という名前だったかと考えながら進んでいる。葉、花がないので、見るものは冬芽や幹となってしまう。
この果実はウツギである。球の上⒊分の一ぐらいがはぎとられたような形をしている。切り取られた面には3本の棘が見える。棘のように見えるのは花柱の名残だという。また、ウツギの幹の断面には穴が開いている。ウツギは「空木」と書き、幹が中空になっていることから名づけられたといわれている。
ウツギの果実
ウツギの茎の断面
つづき
撮影:12月8日
記 平成28年12月12日(日)