公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

タチバナモドキとトキワサンザシ

1118日(金)
 
試料1
 
イメージ 1

試料2 
イメージ 2

 この黄褐色の果実、赤い果実、は何の果実だろうか。よく見かけるのは赤い果実の方である。以前ピラカンサという名前を聞いている。その後、調べたらタチバナモドキ、トキワサンザシの名前が挙がってきた。また、サンザシの樹の名前、ピラカンサの名前も聞く。一体どれがどうなっているのか、混乱してきてしまった。
 
 資料1によるとピラカンサは、バラ科トキワサンザシ属の種類の総称と説明されている。ところが、日本原色植物図鑑にはトキワサンザシ属はなく、それに相当するものとしてタチバナモドキ属がある。
 
 保育社の日本原色植物図鑑で調べると、これらの樹木はバラ科のサンザシ属とタチバナモドキ属の中に入っている。そこで、サンザシ属とタチバナモドキ属の違いから調べることにした。サンザシ属の写真としてサンザシ、エゾサンザシが掲載されているが、葉を見ると、いずれもタチバナモドキ属とは違い、広い形をしている。この結果から、試料についてはタチバナモドキ属を考えればよいことになった。

検索表の抜粋
2.葉は単葉
 3.葉は鋸歯縁、まれに全縁、枝に棘がある
  4.葉は落葉性、まれに半常緑、花柱は15.・・・  サンザシ属
  4.葉は常緑、鈍鋸歯縁または全縁。花柱は5.・・・タチバナモドキ属

タチバナモドキ属をさらに検索していくと
タチバナモドキ属
1.葉は線状長楕円形、全縁、表裏と萼に綿毛がある   タチバナモドキ
1.葉は鋸歯縁、表裏と萼は無毛
 2.散房花序は無毛、葉は狭長楕円形から長楕円形、円頭  
カザンデマリ(ヒマラヤトキワサンザシ)
 2.散房花序は有毛、葉は楕円形、鋭頭  トキワサンザシ
 
 試料1について葉の表裏について調べると、表面は毛が疎らだが、裏面には毛が沢山ある。この毛を綿毛というのだろうか。葉の縁には鋸歯らしいものは見当たらない。以上から黄褐色の果実をつけた試料1の樹はタチバナモドキになるようだ。
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表面:毛が疎ら

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裏面:毛が沢山ある(綿毛)

 次に、試料2の葉について調べた。表裏にごくわずかの毛があるように見えるが、殆どないように見える。葉の上の方には浅い鋸歯が認められる。この結果からは、タチバナモドキでないといえるが、カザンデマリ(ヒマラヤトキワサンザシ)とトキワサンザシの区別はつかない。
 行き詰った感があったが、資料2を見ると、トキワサンザシの葉は先端側の幅が最も広く、カザンデマリ(ヒマラヤトキワサンザシ)の葉は、葉の中央部の幅が最も広いと書かれていた。これはいいヒントになると思った。この結果、試料2はトキワサンザシとなった。
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表面:毛がほとんどない

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裏面:毛がほとんどない

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葉の先端部の幅が最も広い
 
撮影:1110
 
  記 平成281111日(金)