公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

赤いススキとヒヨドリバナの花のつくり

1021日(金)
 
 102日に来たときから赤みを帯びたススキが目立ってきた。これは確かにススキなのだろうか。日頃見て知っているススキの穂は白色である。この赤味を帯びた穂を見た時、セイバンモロコシが枯れ始めたものではないかと思った。葉を触ってみると堅さがあり、ススキの特徴を表しているように見える。しかし、どうも釈然としない。
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赤みを帯びたススキ
 
 鞘口を見ると、白色の沢山の毛が見える。葉鞘にも同じような毛がある。更に穂を見ると、小花に長いノギがあり、もとには長い毛がある。ブラシ状の雌しべは赤紫色をし、葯は黄色から褐色がかっている。小花を包む苞穎が赤紫色をしているので、全体が赤みがかって見えるのかも知れない。葉の裏側には下へ向かう伏毛が疎らにある。
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 ススキの小花

 紫色を除けば、みんな今まで見て来たススキの特徴と一致する。原点に戻り調べ直すと、牧野新日本植物図鑑では、「黄褐色または紫褐色を呈する」と説明され、保育社の原色日本植物図鑑では、「白色、帯黄褐色または帯紫色(これをムラサキススキと呼ぶ)」と説明されている。これを読んで先駆者は我々とは違うと思った。きちんと赤みを帯びたススキをとらえていた。
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葉の表:毛が無い

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葉の裏:下へ向かう伏毛がある

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小穂:上が白、下が赤
 
 赤みを帯びたものもススキに変わりないことが分かった。しかし、ススキが現れ出した時は、大抵が白色のススキである。赤みを帯びたススキは晩秋になって見るような気がする。毎年この時期になると、セイバンモロコシが姿を消していくので、ススキとセイバンモロコシの区別が難しい時期だと思っていたが、セイバンモロコシに見えたものはススキだったことが分かった。
 
 赤みを帯びたススキの謎が解けたので、次にヒヨドリバナの謎を考えた。ヒヨドリバナを最初に見た時、紐のようなものがあちこちから出ていて、花のつくりを知ろうにも、手掛かりが見つからなかった。
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 仕方なく、色々な資料に当てり、大まかな花のつくりを学んだ。この花は頭状花序で、1つの頭状花はいくつかの小花からできていることを知った。ここまで来ると、皆目見当がつかなかった花のつくりの謎が解けてきた。最後は、小花のつくりを考えることになった。小花を上から見ると、花弁の先が5つに分かれている円筒花と分かる。更に花の中を知ろうとした。
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  ヒヨドリバナを上から見たところ

 1つの小花から2本の紐が出ている。この紐状のものは雌しべということが分かったが、雄しべの存在は相変わらず分からなかった。牧野新日本植物図鑑、保育社の原色日本植物図鑑、寺崎日本植物図譜を見たが、どれにもおしべの記載がなかった。困った挙句、インターネットで調べると、雌しべの根元に見える暗紫色のものが雄しべと分かった(資料)。しかし、本数は捉えられなかった。
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雌しべ

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 雌しべの根元に見える暗紫色のものが雄しべ

撮影:1010
 
  記  平成281010()