コブナグサからヒメアシボソへ辿り着いた
11月7日(土)
シロヨメナを見た後、左に崖を見ながら進んだ。コブナグサに似たものがここにも現れた。「これはコブナグサなのだろうか」と疑問が残っている。今年初めてコブナグサを見たのは10月4日のことである。この時は花序が数本出ていたので、何の疑問も持たず、コブナグサと思い込んだ。しかし、このところ目にするようになったのは花序が1本で、分かれていない。見た感じはコブナグサそっくりである。
試料
花序
疑問点
1.花序が1本で分かれていない
2.葉が細い
コブナグサについて詳細を調べ直した。
コブナグサ
牧野新植物図鑑
・・・葉は披針状卵形で基部は心臓形、両面とも毛が無い。葉縁の下部にひげ毛状の毛があり、葉鞘には粗い毛を開出する。・・・
寺崎日本植物図譜
・・・・節には毛がある。葉は扁平、狭卵形・・・・辺縁下部は毛がいちじるしく、基部抱茎、葉舌は切形縁毛端・・・・
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試料の葉の基部は心臓形をしていない。また、茎を抱いていない。
葉の基部:心臓形をしていない
やはり、コブナグサとは違うようだ。10月4日の資料を再度見て見ると、こちらは葉を取り巻くように抱いていることが分かる。また、葉の縁と葉鞘に開出した毛が沢山あることも分かる。
コブナグサ(10月4日)
ところが、試料の葉の基部を見ると、基部には毛があるが、葉鞘には毛が無い。また、毛の質も違うようだ。
基部:毛がある 葉鞘:毛が無い
この疑問を考えているとき、「アシボソ」の名前が浮かんできた。詳細は分からないが、これに似いた記憶が蘇ってきた。そこで、確認のためアシボソについて調べて見た。
アシボソ
牧野新植物図鑑
・・・葉は線状の披針形で、先は尖り、薄質で短毛があり、下部は長
い鞘となって茎を包む・・・
寺崎日本植物図譜
葉は薄質で・・・葉は披針形または長楕円形で鋭頭・・・
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2つの図鑑は葉鞘の毛、鞘舌の毛に触れていないが、寺崎日本植物図譜では鞘舌の毛が書かれている。試料には葉鞘、鞘舌ともに毛がある。
写真で確認するために、
試料はアイボソにより近く見える。この資料を読んでいくと「葉舌は薄く切形、縁は毛状。葉鞘は短く、有毛。小穂は・・芒をそなえる」と「小穂の芒」に触れられている。そこで試料を見直すと、小穂の芒は見当たらない。
小穂の芒は見当たらない
何とか辿り着いた「アシボソとは違うのか」と思っていると、下の方に「ヒメアシボソ」が書かれていた。このヒメアシボソを見ると、「芒はほとんどない」と書かれていた。「これになる」そう思った。
コブナグサから始まり、ヒメアシボソへ辿り着いた。花序が数本出ていれば、これほど遠回りしなくて済んだのだが、随分回り道をした。ヒメアシボソの穂が出たてのときは花序が1本なのかもしれない。コブナグサ、ヒメアシボソについての資料はたくさんあるが、花序が1本であるときのことを書いた資料は見つけられなかった。
撮影:10月28日
記 平成27年11月6日(金)