ミヤギノハギかマルバハギか
8月30日(日)
上から垂れているハギがあった。「枝が垂れているとミヤギノハギになる」との先入観から、すっかりこのハギはミヤギノハギではないかと思った。何も疑うこともなく写真を撮り、見ると、「おやぁ」と思った。葉が丸味がかっている。この丸味から考えると、マルバハギとなってくる。ミヤギノハギなのか、それともマルバハギなのか・・・と簡単に解決できなくなってしまった。
試料
枝が垂れている
葉が丸く、花序が突き出ている
そこで、ミヤギノハギ、マルバハギの特徴を調べ直すことになった。
ミヤギノハギについて
牧野植物図鑑
・葉は柄を持った3出複葉 小葉は楕円形 両端とも次第に細くなって鋭形
・表面は新緑色で、無毛 裏面は淡緑色で毛が多い
・萼は深く5裂 裂片は皮針形で、先端は尖る
・旗弁は楕円形で強く外側に反りかえる
・翼弁は濃色 竜骨弁は翼弁より長く、青紫色で鎌状
保育社植物図鑑
・花は紅紫色で、長さ13-15㎜
マルバハギについて
牧野植物図鑑
先端は円形、やや切形・・・、側小葉はほとんど無柄
・裏面には短毛が多く生え、短白色
・紅紫色の旗弁、濃紫色の翼弁、淡紫紅色の竜骨弁
・萼歯は中央部まで深く4裂し、多少毛が生え、裂片は披針形で先はかたくなり、針状に尖る
保育社植物図鑑
・花は10-12㎜
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観察メモ
葉
頂小葉…長さ:3㎝、幅:2.5㎝ 側小葉:長さ2㎝ 幅:1.8㎝
表面…毛は少ないが、葉脈上に少しある
裏面…伏せた毛がたくさんある 葉脈上には特にある
花
花序…長さ:6㎝
旗弁…長さ:1.4㎝ 幅:8㎜ 基は濃いピンク色
側弁…長さ:7㎜、幅3㎜ 全体が濃いピンク色
竜骨弁…長さ:1.3㎝、幅:0.5㎜ うすい青色、先端だけ濃い青色
葉の形から考えると、ミヤギノハギにはならない。マルバハギについて、インターネットの資料の多くでは花弁の中の竜骨弁は小さく、翼弁に包まれているとの説明がある。しかし、牧野植物図鑑、寺崎日本植物図譜、保育社の植物図鑑等にはそのような記載がない。試料は竜骨弁が翼弁から長く外側へ出ている。花序は葉よりも大きく、上へ出ている。
竜骨弁が翼弁から長く外側へ出ている
花序は葉よりも大きく、上へ出ている
枝が垂れている、花序の長さ、花の大きさ、竜骨弁の長さ、萼歯の様子などを総合して考えると、試料はミヤギノハギが最もふさわしい様になってきた。
撮影:8月24日
記 平成27年8月29日(土)