シナダレスズメガヤの考察
7月10日(金)
試料
シナダレスズメガヤになるか
水田沿いに株をなした雑草の一種が列をなしている。いったいこの雑草の名前は何というのだろうか。数年前から、この雑草を見る度に考えてきたが、いまだに解決してない。
株をなした葉の間から出た花茎の先に花は花序の形でついている。花序が長いものは、みんな頭を下げるようになびいている。この姿からシナダレスズメガヤとばかり思っていた。再び見る機会があったので、見直してみた。
保育社の植物図鑑によると、
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これを参考にすると、試料は剛壮な大株と見え、シナダレスズメガヤになってくる。
ところが、シナダレスズメガヤの説明を読んでいくと、円錐花序には腋毛があると書かれている。他の資料を見ても、同じことが書かれている。しかし、写真で示されていたのは松江の植物のみだった
試料では、花序の基部の写真を撮っていなかったので確認が出来ない。コスズメガヤは、各小枝の基部に毛がある。試料の小枝の基部を確認したが、毛の存在は認められない。松江の植物の花序の基部を除いた小枝の基部を見ると、そこにも毛が無い。
小枝の基部に毛がない
鞘口の長い軟毛は明らかでない
葉鞘は平滑
試料の茎には第1葉を除き、ほとんど葉はない。すべての葉が根生葉になっていると見なせる。根生葉は幅が1cm、長さが30cmになっている。第1葉を見ると、茎に沿って上を向いている。葉の先を見ると舟形になっている。これらの特徴はナガハグサであることを示している。
第1葉
多くは根生している
試料は、シナダレスズメガヤかナガハグサになってきた。ナガハグサはこれほど大きな株をつくるのだろうか。
ナガハグサは、イチゴツナギPoa sphondylodes Trin.と似るが,長い匐枝を持ち,大株とならないことで区別できる |
によると、大株にならないことが示されている。従って、ナガハグサではなくなるようだ。
以上見てきたところでは、シナダレスズメガヤに最も近いといえる。ただ、花序の基部の毛の確認をしなければならない。次回見るとき、試料が花序をつけているだろうか。その保証がない。
記 平成27年7月9日(木)