ワルナスビとイヌホオズキの違い
6月16日(火)
ワルナスビ
ワルナスビとイヌホオズキはよく似ている。個々に花を見ていたのでは2つの区別は分かり難い。2つのものが近くにあれば、比べてみることも可能だが、そういうチャンスは中々なかった。何時か2つを比べてみたいと思っていたところ、ようやくそのチャンスがやってきた。2つは離れた場所にあるが、それほど離れてはいない。数分で行き来できる。さらにどちらも花をつけている。
ワルナスビ
花を見た。ワルナスビは直径が約3.5cmあるのに対し、イヌホオズキは約1cmであった。いままできちんと計測したことがなかったが、計測してみると、2つの違いが実感としてとらえることが出来る。しかし、これほど違うとは思わなかった。
イヌホオズキは毛が目立つが、棘になっているものは見当たらない。それに対し、ワルナスビは全身鋭い棘が観察された。いままで葉の棘は見ていなかったが、両面にあった。特に葉脈上には多くある。なぜ葉脈上に刺が集中するのだろうか。ヒイラギやサボテンなどの棘は動物に食べられないように防御の役割を果たしているという。この棘も何かそのようなことに関係があるのだろうか。
ワルナスビ
葉の表:葉脈上に棘がある
葉裏:葉脈上に棘がある
葉表:棘はない
葉裏:棘はない
ワルナスビ、イヌホオズキともナス科の植物である。ナス科の代表的なのは野菜のナスである。この花を見ると、5弁に見える花弁は基でつながっている。このイメージから見ると、ワルナスビとイヌホオズキの花弁は5枚に見えるが、切れ込みが元まで届いていないことが理解できる。つまり合弁花の仲間になる。(上の花の写真参照)
茎の断面を見るとイヌホオズキは角張り、稜が認められるが、ワルナスビでは明確に見えない。
ワルナスビ
細かな点についてみたが、株立ちを見ると、ワルナスビは縦方向に、イヌホオズキは横の方向へ枝を広げているように見える。
一応、帰化植物図鑑(長田武正著)で特徴を確認してみたが、ほぼ同じようであった。この植物図鑑には、似ているものとして、アメリカイヌホオズキ、ブドウホオズキなども記載されている。これらについても詳細を読んでみたが、試料とは多少の違いがあるようだ。それにしても「調べている人はよく調べているなぁ」改めて驚いた。
調べた特徴
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ワルナスビ
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背丈
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70cm
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60cm
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茎
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毛と棘がある
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毛と稜がある
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葉
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長さ9.5cm 幅:5cm
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長さ10.5cm 幅:5cm
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葉表
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明るい緑
主脈に刺がある
毛がある
細長い楕円形
幾つか耳がある
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濃い緑
幅広の楕円形
縁に細かい鋸歯、毛
耳は不明、あっても浅い
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葉裏
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主脈に刺がある
葉脈上に毛がある
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葉脈上に毛がある
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花
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先が5つに割れる
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先が5つに割れる
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直径3.5cm
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直径1cm
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花弁
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長さ1.7cm 幅1cm
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長さ5mm 幅3mm
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記 平成27年6月15日(月)