公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

コメツブツメクサを考える

612日(金)
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試料

  先日小さな黄色い花について書いた。恐らくコメツブツメクサではないだろうかと思っているが、定かでない。
最初はウマゴヤシと思っていたが、托葉について調べると、

ウマゴヤシの托葉は
櫛の歯状に切れ込んでいる。
托葉は皮針形~半月形、で、ヘリは総状に細裂する
(参考:長田武正著「日本帰化植物図鑑」)
の説明がある。

 試料の托葉は普通の葉の形で、切れ込んだり、細裂していない。また、白色の模様がある。すると、ウマゴヤシではなくなる。
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托葉
 
 長田武正著「日本帰化植物図鑑」には、コメツブウマゴヤシ、コウマゴヤシが記載されている。こちらも検討の余地が出てきた。
 コメツブウマゴヤシ、コメツブツメクサについていい参考になるものがないかと調べると、
 
http://www1.seaple.icc.ne.jp/noko/kometubu.htmlさんに詳しい説明が記載されていた。
・コメツブツメクサはシャジクソウ属、コメツブウマゴヤシはウマゴヤシ属
・コメツブツメクサの葉はほとんど無毛、コメツブウマゴヤシの葉は表も裏も、細い白い毛が生えています。
・コメツブウマゴヤシの果実は花が終わると花殻は残らずに丸まった果実を付け、ジャジクソウ属のものは咲き終わった花がだらしなく下を向いているように見える形で果実をつける。
と記載されている。

試料を見ると、
・全体に上に沿う毛が多い。
・花弁は変色してもそのままついている。
・浅いが鋸歯がある。
と観察される。
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全体に上に沿う毛が多い

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花弁は変色してもそのままついている
 
 葉から見ると、毛がたくさんあるので、コメツブツメクサではなくなる。ところが、結実時に花弁が下向きの残っているので、コメツブウマゴヤシではなくなる。試料はコメツブツメクサでなく、コメツブウマゴヤシでもない。ここまでだと、振出しに戻ってしまう。
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葉の表:毛がある

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葉の裏:毛がある

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「コメツブツメクサの葉はほとんど無毛」この点を他の資料で調べ直した。

葉の裏面脈上や縁に長い毛がある。

 このことから葉に毛のあるケースが考えられる。
 さらに調べて行くと、
 
 花の枯れたのが残っている。この形を拡大すると、シロツメクサに似てくる。この中の一片を取り出してみた。薄い線模様が入ったものが見える。これは花びらと考えられる。花びらに包まれていたものが見えている。この中に果実があるものと考えられる。
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花びらに包まれていたものが見えている
 
 針で突っついて見ると、中から堅いものが1つ飛び出てきた。拡大してみると、楕円形をしている。果実であることはほぼ間違いない。果実が花びらに包まれていたことになる。 
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中から堅いものが1つ飛び出てきた

 ウマゴヤシ、コメツブウマゴヤシの果実時には花弁は残っていない。従って果実が花びらに包まれていることはあり得ない。
 
 以上の結果ら考えると、試料はコメツブツメクサと考えられる。
 
 
考察
一目見てウマゴヤシと見てしまっていたものだが、よく見てみると違っていた。身近に見ているものでも、勘違いしていることがある。原点に戻って調べ直すと、意外な真実が現れてくる。
 

  記  平成27611(木)