公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

キツネノボタンとケキツネノボタン

524日(日)
 
 あぜ道を歩くと、「キツネノボタンかケキツネノボタンか」と決め難い植物が現れている。先日、田圃の中にも同じような植物が見られた。この3つを区別したく、現地を再び訪れると、田圃は耕され、前回の姿は一変していて、再度見ることはできなかった。しかし、田圃の中のものは集果が楕円形から、円筒型であることを前回捉えていたので、タガラシと判明した。残りのこの2つの違いを知りたく調べてみた。

試料
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自分なりに特徴を調べてみると、下記のようになっていた。
・地面からちょっと上がったところで枝分かれをしている。横へ張り出す毛 
 けが多い。
・葉の付け根は紫色を帯びる。
・長い葉柄の先に3枚の葉が付く(3出葉)。小葉はさらに3つに大きく割れ、割れたものに粗い鋸歯がある。
・葉の縁に毛が出ている。
・茎には稜があるようだ。
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・葉の表裏には前方に付した毛が密生している。裏面では葉脈上が顕著であ
 る。
イメージ 3イメージ 4
葉の表                     葉の裏

・集果は球形
・そう果は平たい。
・花柱の先端はやや傾く程度、曲がっているとは見ない。
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集果
 
・上部の葉には柄がない。
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上部の葉
 
・茎は空洞。円形に近いが稜があるようだ。横へ開く毛が目立つ。
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茎の断面
 
・花期のがくは完全に反り返っている。
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がく

・花弁5枚、縁が白色。
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保育社植物図鑑により、キンポウゲ属の検索表を引いていくと
1.そう果の両面に刺がない
2.そう果に縦条がない
3.葉は扁円形または腎形掌状分裂または鋸歯がある
4.地上の走出枝を出さない
5.花は径15-22mm…
6.果床は1-5mm…集果は球形
と辿っていけるようだ。









 以上の観察点をもとに保育社植物図鑑に記載されている検索表を手掛かりに辿ってみた。 
 限りなく、ケキツネノボタンへと進んできたが、

多湿な場所にキツネノボタン、乾燥気味な場所に多ケキツネノボタンとニッチ(生態的地位)を分け合って生活している。と掲載されている。
 
 現地は田圃の畔で、1mもしないところに排水溝がある。このことを考えると、ケキツネノボタンと考えたことがぐらついてくる。ただ先日、ケキツネノボタンと考えられるものを崖の斜面に見ている。

考察
 なかなか結論は出しにくいが、資料はケキツネノボタンと見てよさそうだ。キツネノボタンとケキツネノボタンは厳格にはニッチ(生態的地位)を分け合って生活しているとは言い切れないようだ。
 また、キツネノボタンとケキツネノボタンとの大きな違いは全身の毛の有無になるのだが、キツネノボタンについては、現物を見ていないのではっきりしない。ケキツネノボタンは写真で見る通り、全身に毛が密生していることが明確である。
 
  記  平成27年523日(土)