スダシイの名前の不思議
1月21日(水)
スダジイ(イタジイ)
スダジイ(イタジイ)の果実
沖縄ではスダジイと呼ばず、イタジイと呼ぶという。こちらでは大木も存在し、板根も発達している。その姿からイタジイの名が生まれたのではと考える人もいる。この説はなかなか面白い説で、イタジイの名前の由来に近いかもしれない。
これは板椎の意味で、板根はスダジイの特徴のひとつかと思ったりするのですが
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一方スダジイの名前の方はどうなっているのだろうか。こちらは資料がなく、難問である。どこから調べたらいいのか皆目見当がつかない。
シタダミ(巻き貝の一種)からという説があった。
シタダミ(巻き貝の一種)に似た堅果をつけるシイとする説がある。…
参考引用文献
・前川文夫著,「植物の名前の話」,八坂書房,1994
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シタダミ(巻き貝の一種)この説は強引だという人もいる。
雄花
雌花
そこで、マテバシイが九州南部に自生することから、九州南部を手掛かりに進めたので、同様にして南の方を手掛かりにした。沖縄ではスダジイとは呼ばず、イタジイと呼ぶことは前に触れた。さらに調べてみると、イタジイは建築材にも薪炭材にも適さないという資料が出てきた。
"役立たずの木"と呼ばれ、あえて伐りだすこともせずに放置していたという…
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スダジイ(イタジイ)は建築材にも薪炭材にも適さないかというと、そうではない。これはどうなっているのかと調べると、沖縄や九州ではツブラジイが多いという。スダジイとツブラジイはよく似ている。ツブラジイは建築材や薪炭材としてスダジイ程有効ではないということが分かってきた。もしかしたら、このツブラジイに対してスダジイの名前が付けられたのではないだろうかと推定できる。
ここで「すたれる」という言葉が思いついた。調べると
すた・れる【廃れる/×頽れる】
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となっていて「スタ」が出てくる。これと、先程の「…あえて伐りだすこともせずに放置していた…」との関係を考えると、建築材にも薪炭材として役に立たないから放置されてきた。つまり「放置されすたれたシイ」が浮び上ってくる。この言葉はイタジイとは呼ばず、スダジイと呼んでいた九州あたりで生まれた可能性が考えられる。「すたれたシイ」から「スダレジイ→スダジイ」との変化が考えられる。
果たしてどうなのか、資料がほとんどないので、手探りで推定してみた。
記 平成27年1月21日(水)