マテバシイの名前の不思議
1月20日(火)
マテバシイの果実
珍樹の森 ~樹木の顔そっくりフォト集&ハント術~ より
1.葉がマテガイに似ているという説
2.待てばシイの実のようにおいしくなるという説
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1.の説が有力というので、マテガイを調べてみた。
写真で見ると、マテガイは黄土色の円筒のように見える。このマテガイからマテバシイの葉のイメージがわくだろうか。黄土色という色はマテバシイの葉の色に似ている。しかしこの色と形からマテバシイという名がつけられたとは考えにくい。
2.の説、待てばシイの実のようにおいしくなるという説には無理を感じる。いくら炒ってもシイ(スダジイ)の味にはならない。
手掛かりを求めて、牧野植物図鑑を開いた。
牧野植物図鑑を調べると
・九州南部に自生する常緑樹…
・マテバシイのマテは九州地方の方言で意味は不明という。種子は食用に なるが味は良くない。一名マタジイともいう。
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九州南部に自生するところから九州の言葉に関係がありそうに思える。「マテ」・「バ」・「シイ」と分けてみた。「バ」は葉を表している。「シイ」はシイの樹を表している。このように考えると牧野博士が不明とした「マテ」の意味が分かればいいことになる。
スペイン語で「マテ」という言葉を調べると、マテ茶のことが出てきた。マテの樹から作った茶のことである。そこでマテの樹を調べると葉は小さいが、マテバシイの葉の形に似ている。何か引っかかるものがあるように感じた。
いつごろからマテバシイと呼ぶようになったのか分からないが、昔九州の方ではスペインやオランダの影響を受けたと考えられる。憶測だが、彼らがマテ茶を飲んでいたことは考えられる。そこから考えて、マテバシイの葉を見て「マテ」と呼んだ可能性もありうる。日本人はこの樹を「シイ」と呼んでいたと思う。この「マテ」と「シイ」一緒になり、マテの葉に似たシイというところから「マテバシイ」となった可能性が考えられる。
雄花の花序
雌花の花序
別説
「マテの木」の存在が分かったので、さらに追及してみた。すると、種子島や屋久島で正月の門松にマテの木が使われている資料が見つかった。最初はマテ茶のマテの木と同じで、南米に見られるものが種子島や屋久島にもあるのかと思った。しかし調べていくと、違っていた。マテの木はマテバシイのことのようであることが分かってきた。
・種子島海村の年中行事によると
種子島の方では、「門松にマテの木が使われる」とある。さらに読んでいくと、マテの木はドングリの木やシイになっている。
・屋久島麦生集落でも
門松の足元にマテの木(どんぐりの木)の割木を組む。
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このことから考えると、昔は、種子島や屋久島ではマテバシイをマテの木と呼んでいたと推測できないだろうか。このように考えると、マテの木の葉に似たシイの木ということからマテバシイの名前が付けられたといえないこともなさそうだ。
牧野博士の語源が不明とした「マテ」はマテの木の「マテ」であったのではないだろうか。
資料が少なく確かなことは分からないが、調べたことから考えると、別説の方に魅力を感じる。しかし、「マテ」の語源は依然として謎である。ひょっとしたら前記したマテ茶のマテかもしれない。
記 平成27年1月20日(火)