公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

ホソムギを調べる

5月27日()
 
 ネズミムギがいろいろなところで大きな株をなし、長い穂を伸ばしている。よく見ていると、どことなく違うものが混ざっている気がしてきた。痩せていて、背丈もそれほど高くない。ホソムギの名を聞いたことがあるので、これがホソムギなのだろうかと確認する気になった。
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ホソムギ?
 
 試料は幾分明るい緑色に見える。細く、全体に小さいようだ。しかし、中にはきわどいものもあり、分別は難しい。
 日本帰化植物図鑑(長田武正)等の専門書によると、護頴にある芒の有無でネズミムギとホソムギに分けられるとあった。そこで、実際に調べてみると、芒はないようだ。するとホソムギになる。ほかに相違点がないか調べ始めると、日本野生植物検索には護頴の芒の有無では同定は難しいとあり、振り出しに戻されてしまった。日本野生植物検索では、第1の注目点として「多年草か越年草」を上げ、第2の注目点として、新葉の出方を上げている。読んでみたが、意味が伝わってこない。もう少し詳細の説明があれば読んでみたいと思っている。
 
試料
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 中々難しそうで、分かりそうな資料がなかったので、自分なりにかじってみた。
試料の観察点
全体の背丈   約35cm上方がやや湾曲
葉         長さ:6cm    巾: 4mm 先へ行くと次第に細くなる
葉舌        1.5mm
穂の長さ     約13cm
小穂        18
小穂        1cm
小花:5個 下から3つ目まで花を確認 一番下のみ雄しべがあったが落ちてしまった
外苞頴       1.2mm 1枚     
外頴         7mm           
雌しべ      先に白色の毛が沢山ある
内頴         7mm    
 
 小穂から小花を取り出し、接写写真を撮りながら進めた。物が小さいだけに操作が難しかった。
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小穂と苞頴
 
 「苞穎が1枚である」苞穎といえば、小花の一番外側にあるものである。小穂をピンセットでつかみ引っ張ると、小花は抜ける。全体をつかまないで抜くと、苞穎が残される。苞穎の内側を見たが、そこには何もなかった。
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苞穎の内側には何もなかった
 
 一番下の小花を見ると、1枚の頴に見える。頴には外頴と内頴があるというので、1枚と見える頴からうすい膜状のものを摘み上げてみた。すると、カモジグサのとき見た雌しべとそっくりな雌しべが現れてきた。
 
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現れてきた雌しべ 
 
 
 2番、3番目の小花を同様に開いていくと、最初の小花と同じようになっていることが分かる。
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小花はみな同じつくりをしている
 
 雌しべが外頴と内頴の間にあることが分かるが、どちらに張り付いていたかは分かりにくい。カモジグサは外頴に張り付いていた。これも同じように見えるが、カモジグサほど明確ではない。
 
 試料を見ると、雄しべの葯が目に付く。花の大きさにしては大きいい。どこから出ているか、花糸の存在を調べようといくつもの小花を解体してみたが、途中で葯が落ちてしまい、辿っていくことはできなかった。これはカモジグサでも同じだった。
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    葯が2枚の頴に挟まっている                 葯の付け根を探す
 
考察
 結果的には、カモジグサに似た花のつくりをしていることが分かった。違いは、外頴に芒ないこと、苞頴が1枚であることであった。
 
 
  記  平成26年5月27日(火)