アズマネザサの検索
5月29日(水)
公園のササがずいぶん伸びてきた。ヤブランの緑がきれいになってきたのだが、ササに覆われ、せっかくのヤブランの葉が見えないところがある。何とかしようとササを抜こうとしたが、ちょっとやそっとの力ではとても歯が立たない。仕方なく刈ることにした。刈るといっても、これがまた一苦労する。束ねて刈れればいいのだがそうはいかない。ヤブランは残しておきたい。1本1本手がけていくしかない。
ヤブランを覆うササ
公園などに見られるササはどれも同じで「アズマネザザ」と思っていて、何の疑問も持っていなかった。ところが、ササを刈るということをはじめたら、本当に「アズマネザサ」でいいのだろうかと思うようになった。
試料
保育社の植物図鑑を使って検索してみると
稈鞘は離脱していないので、カンチク属、メダケ属、ヤダケ属、スズタケ属、アジマザサ属、ササ属のどれかに入ることになる。
各節か出ている枝の数を見ると、2本になっているので、カンチキ属かメダケ属に絞られる。
稈鞘は薄膜質でない。「洋紙質または革質で永続性…」この辺が明確ではない。革質と考えれば「メダケ属」に該当する。
メダケ属をさらに検索していくと
葉の長さを見ている。試料の葉はそんなに細長いとはいえないので、後半のグループに入る。
長さ 8cm 幅 1cm
葉鞘の先の肩毛という言葉が出てくる。聞きなれない言葉なので調べると、葉鞘の先にある毛であるという。早速見ると、その様なものがある。葉の基部、葉鞘の下の部分の縁にも多少毛が認められる。肩毛と思われる毛だけが長い。
肩毛と思われる毛だけが長い
稈の面は無毛を選び次へ進む。
「葉鞘は縁に粗毛が列生するが、背面が無毛…」「背面に斜上する粗毛が散生する」のどちらかを選ぶことになる。
背面は無毛になっている。
すると、ケネザサ、ゴキダケ、ネザサ、アズマネザサ、ハコネダケの5つに絞られる。
葉の下面は無毛であるので、ケネザサが外れる。
節に著しい長毛がないので、ゴキダケが外れる.
葉の長さ8cm、幅1cmなので、ネザサではない。
最後、アズマネザサかハコネダケの2つに絞られた。
この二つの区別は難しい。葉鞘の脈間に毛があるかないかで分けているが、この「脈間の毛」ということがよく分からない。これについて調べると、葉鞘の背にある腺(筋)辺りにある毛のことらしい。試料にはこの毛はない。
まだ不安なので、牧野植物図鑑で詳細を調べた。
ハコネダケはアズマネザサの一型で箱根山周辺に多い…
アズマネザサは関東東北地方に広く群生する…
やはり、試料はアズマネザサでいいようだ。
考察
ササを刈る作業がアズネザサを調べることになってしまった。何がきっかけで、学ぶ課題が見つかるか分からない面白さがある。1つ1つ検索項目を見ていくと、「よくここまで調べているなぁ」とつくづく感じさせられる。分かっていると思うことでも、調べ直すと、結構不確かな記憶であることが分かる。
記 平成25年5月29日(水)