公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

「ハナカイドウ」の名前を知るまでの道

3月19日(火)
 
試料
イメージ 1
この花の名前は?
 
  試料は、赤みを帯びたピンクのきれいな花が咲く。名前をなんというのかよく知らなかった。1つの蕾が割れる、そこからいくつかの花の蕾が出てくる。この姿からサクラの仲間ではないかと考えた。サクラにはいろいろな種類がある。どれがなんという名前なのか見出すことは大変難しい。この花は、サクラの中の何んというものか。思案の末、まだ浅はかな知識しか持ち合わせていなかったので、蕾が赤く、垂れ下がっている姿から、「カンヒザクラ」とした。しかし確信はなかった。花が咲くと花びらのふちが赤みが濃くなっている。幹を見るとサクラとはちょっと違うらしい。そんな思いがあったがカンヒザクラのままにしていた。
イメージ 2
1つの蕾が割れる、そこからいくつかの花の蕾が出てくる
 
    その内、ヨコハマヒザクラを目にするようになった。いろいろな資料を見ると、「ヤマザクラ系の兼六園熊谷(ケンロクエンクマガイ)と寒緋桜(カンヒザクラ)との交配種である。
(一例kyo-no-hana.com/blogs/kyohana/2010/04/post-365.html)」と報告されている。実際にヨコハマヒザクラを見に行った。
イメージ 3
ヨコハマヒザクラ
 
イメージ 4
ヨコハマヒザクラ
 
  ヨコハマヒザクラは花全体の赤みが強い。カンヒザクラは赤みが強く、花びらが全開していない。一方ケンロクエンクマガイを資料で見ると、ヤマザクラ系とあり、白っぽく、花びらは全開に近い。以上の点から考えると。ヨコハマヒザクラにはカンヒザクラの特徴が強く出ているといえる。
 試料を「カンヒザクラ」としていたが、強い疑いが出てきた。「何とか解決したい」と思いながらも、なかなか取り組むことをしなかった。
 
 カンヒザクラそのものをよく調べ直さなくてはいけない。カンヒザクラとヨコハマヒザクラとの違いも知りたい。
 カンヒザクラ、ヨコハマヒザクラとも赤みが強い点は共通している。大きく違う点は花のつき方、花びらの開き方にあると思う。花のつき方を見ると、ヨコハマヒザクラは顔が横向きになっており、釣鐘のように垂れていない。カンヒザクラは釣鐘のように垂れている。花の開きを見ると、ヨコハマヒザクラは全開ではないが、6分から7分ぐらい開いている。それに対し、カンヒザクラはほんのしるしだけしか開いていない。
イメージ 5
カンヒザクラは釣鐘のように垂れている
 
イメージ 6
カンヒザクラは釣鐘のように垂れている
 
 カンヒザクラ、ヨコハマヒザクラが分かってくると資料がカンヒザクラ出ないことが明白になった。それでは何になるのだろうか。ここで振り出しに戻ってしまった。
 
 試料をよく見直した。葉が気になる。サクラには似ていない。サクラよりは小さく、やや厚く、緑が濃い。縁の鋸歯も細かい。
 インターネットで「木には名前がある」
「落葉樹、鋸歯がある、ピンク・紫・青、赤・紅、平開または斜めに開、3月、4月」の条件を入れて検索すると、18種類に絞られた。この中から該当しそうなものを選んで、広げてみた。その中に「ハナカイドウ」が一致しているようだった。他の資料も当たってみた。試料と比較すると、ほぼ間違いないようだった。
さらに正確に調べようとして、保育社の植物図鑑の検索表を見たが、こちらは検索項目が細部の専門的なことであるので、利用はできなかった。
 何とか、ハナカイドウを導き出すことができた。分かれば何ということでもないが、到達するまでは時間がかかった。それにしても、世の中にはよく調べている人が沢山いることを知った。
 
  平成25年3月19日(火)