ウメ、サクラ、モモの違い
2月12日(火)
ウメ サクラ モモ
2日(土)にハクバイが咲き、5日(火)にコウバイが咲き出、「いよいよ春だ」という雰囲気が出てきた。
今日はウメ、サクラ、モモの花について書いてみようと思う。ウメはサクラやモモに先駆けて咲くので、いま咲いているものを見ればまずウメでサクラやモモと間違うことはない。ところがこれがずれ込んで、サクラやモモが咲き出すと、「あれー」ということになる。皆よく似ているからである。それもそのはず、何れもバラ科サクラ属だからである。よく観察しないと区別が出来ないことが分る。
そこで、保育社の植物図鑑を使って少し調べることにした。
サクラ属
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1. 果実は縦に凹みがある…→スモモ亜属、モモ亜属
葉腋につく芽は1…→スモモ亜属
スモモ亜属
1.子房と果実は有毛、花はほとんど無柄→アンズ節
2.葉は卵円形で…、がくは開花時にそりかえる…→アンズ
2.葉は倒卵形で…がくは開花時にそりかえらない…→ウメ
1.子房と果実は無毛、花は有柄→スモモ節
セヨウスモモ、スモモ
葉腋につく芽は3…→モモ亜属→モモ、ヘントウ
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1.果実は縦に凹みがない…→サクラ亜属、 ウワミズザクラ亜属、バクチノキ亜属
サクラ亜属
1.葉腋つく芽は3、花柄は普通短い→ユスラウメ節
1.葉腋つく芽は1→サクラ節、ミヤマザクラ節
セウヨウミヤマザクラ節
ウワミズザクラ亜属
バクチノキ亜属
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一方、杉本順一著「新日本樹木総検索誌」を調べてみると
サクラ属
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果実は側に1縦溝がある。… →スモモ亜属、モモ亜属、ウメ亜属
花は有梗…スモモ亜属
花はほとんど無梗…→モモ亜属、ウメ亜属
側芽は3出…モモ亜属
側芽は単立…ウメ亜属
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果実は溝が不明・・・→ニワウメ亜属、サクラ亜属、ウワミザクラ亜属
ニワウメ亜属
花はやや無梗…→ユスラウメ
花は長梗…→ニワウメ、ヒトエニワザクラ、ニワザクラ、ホソバニワウメ
サクラ亜属
萼片は反転しない。花弁は凹預…上記以外のサクラ
ウワミズザクラ亜属
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保育社の植物図鑑、杉本順一著「新日本樹木総検索誌」ともウメ、サクラ、モモを分けるのに、果実の凹みを第1の観点としている。果実が出来ていれば、どちらを使っても検索していくことは出来る。ところが、2月から3月はどれもまだ果実は現れてはいない。果実を抜きにして見分ける方法は無いものか検討してみる。
新芽と花のつき方を見ると、ウメは葉腋につく芽は1つで、そこから咲く花は1つである。サクラは葉腋つく芽は1つだが、そこからは複数の花が咲く。モモは葉腋につく芽は3つその内いくつかが花になる。
花びらそのものをみると、サクラのみに凹みがあり、ウメ、モモには凹みは無い。ウメは輪郭が丸みがあり、モモは中間的になっている。
花柄が手がかりになりそうなので調べてみると、ウメにはほとんど花柄は見られない。モモは短い(3-5mm)。サクラは長い。
ウメ
葉腋につく芽は1つ 花柄は見られない 輪郭が丸い
サクラ
葉腋につく芽は1つ 花柄は見られない 輪郭が凹む
モモ
葉腋につく芽は複数 花柄は見られない 輪郭は中間型
以上のことから考えると、まず新芽の数を見てみる。1つならば、サクラ、ウメのいずれかであり、複数になるとモモになる。さらに、サクラとウメを見分けるために花柄を見る。長ければサクラ、短くなければウメとなる。さらに確認の上で花びらを見てみる。輪郭に凹みがあればサクラ、丸みがあればウメ、中間的であればモモとなる。何とか自分なりには識別が出来そうな感じがする。例外はあるかもしれないが。大まかな判断は出来そうだ。
記 平成25年2月12日(火)