ススキの検索
10月24日(水)
ススキ
秋が深まり、色々なところでススキが醸し出す銀の世界を見ることが出来る。日に照らされてきらっと光る穂の姿は秋の景色を代表しているかのようだ。このススキについて調べてみようと思いついた。
保育社の原色植物図鑑のイネ科の検索表に従って検討する。
1.イチゴツナギ亜科かキビ亜科の区別
小花
小穂は2個の小花からなるのでキビ亜科に入る
2.トダシバ族かウシクサ族、トウモロコシ族の区別
小穂は2個で対をなすことからウシクサ族、トウモロコシ族に入る。
3.ウシクサ族かトウモロコシ族の区別
小穂
小穂は少なくとも一部登実小穂では両性なのでウシクサ族に入る
4.ウシクサ族からの検索
少穂はみな同じ同型
少穂はみな同じ同型であり、サトウキビ亜族かカリマダガヤ亜族に入ることになる
5.サトウキビ亜族かカリマダガヤ亜族の区別
少穂は対をなすので、サトウキビ亜族に入る
6.サトウキビ亜族には5つの属が含まれている。
サトウキビ属、チガヤ属、アブラススキ属は花序が円錐状または見かけ上単穂状につまった円錐花序になっており、一方、ススキ属、ウンヌケ属、イタチガヤ属の花序は放射状または散房状にならんだ1―多数個の総(ふさ)からなる…となっている。
花序は放射状または散房状
試料は後者に入る。
7.最後の観点は総の中軸は関節で切断しているか、対をなす小穂の柄などを見ている。
対をなす小穂は双方共有柄になっている。
このように辿るとススキ属に達する。
8.ススキ属からの検索
背丈、茎の径、葉の形、長さなどを見ている
茎 葉の表
葉の裏 葉鞘の口の毛
試料の背丈は人の背丈ぐらいはある。径は2-3mmよりもずっと太い。従って、オギもしくはススキ、トキワススキのいずれかになる。
9.オギ、ススキ、トキワススキの区別
生育場所、小穂の基毛の色などを見ている。
試料は沼沢地ではないし、基毛は黄白色または紫色を帯びているので、オギではなくなる。
10.ススキ、トキワススキのどちらか
最終観点は、中軸の長さを見ている。中軸が伸長して花序の先端近くまで伸びていればトキワススキとなる。
中軸の長さ
試料の中軸は花序の先端近くまで伸びていない。
従って、ススキとなる。
一つ一つの観点を見極めて検索していくことは容易の事ではない。チェックポイントとして詳細に調べておかないと検索が行きとどまってしまう。先人は本当によく調べていることが分かる。
記 平成24年10月24日(水)