弥山「水掛地蔵堂、サルトリイバラ、ヒサカキ、イヌガシ、ツバキ」
12月12日(水)
本堂の境内から弥山を下り始めた。上るのはきつかったが、下りはきつさがなかった。ただ、勢いがつき、上る時よりは危険を感じた。まもなくすると、祠のようなものが見えてきた。水掛地蔵堂の標識があり、中には新しそうな花が供えられていた。
水掛地蔵堂
ごろごろした大きな石を渡りながら坂を下って行くと、目の前にオレンジ色に染まった葉が現れて来た。葉は蔓から出ている。円形の葉には葉脈がよく見える。その葉の様子から、これはサルトリイバラと分かった。「サルトリイバラの葉もこんなにきれいに染まるのかぁ」と再確認させられた。
サルトリイバラ
緑色の果実が見えて来た。葉を見ると、厚めで、中央から上の方に鋸歯が目立つ。この姿を見て、この樹はヒサカキではないかと思い付いた。よく見かけるヒサカキの果実は黒っぽいが、これから色が変わっていくものと思われる。
今度は黒色の果実が現れた。葉は小さく、3脈が目立つ。果実が黒色なので、シロダモではなさそうだ。シロダモでないとすると、ヤブニッケイになる。ヤブニッケイはあまり見かけないので、詳細については疎い。そこで調べると、下記の資料1の写真では、「長い柄があり、その先の数本の短い果柄に果実が1個ずつついている(散生状)」。ところが、撮影した写真を見ると、長い柄がなく、それぞれの果柄が直接枝についている。どうもヤブニッケイの果実とは少し違うように見えてきた。更に、ヤブニッケイに似たもので調べて行くと、イヌガシの名前が出て来た。イヌガシの果実の写真を探したが、いずれも花が多く、果実の写真は見つからなかった。資料2はイヌガシの花だが、この付き方から果実の付き方を連想すると、撮影した写真のように長い柄がないように思える。以上のことから、この黒色の果実をつけた樹はイヌガシと考えられる。
イヌガシ
谷に見えるこの蕾はツバキではないだろうか。花が咲いていれば、区別が付けやすいが、花がないと葉を頼りにしなければならない。それでも、遠方からの判断は難しい。望遠写真を見ると、葉の縁に浅い細かい鋸歯が見られ、葉柄は無毛に見える。
ツバキ
ツバキの蕾
山道を大分下って来た。谷の向こう側に山崩れの跡が剥き出しになっている。この光景から、先日の台風で、この辺もかなり被害が出たように見受けられる。更に下ると、上る時によく目にしたタイワンフウの紅葉が見えてきた。望遠で撮影したら、葉の形のよく分かる写真が写っていた。
タイワンフウ
タイワンフウの葉
サルスベリの幹に似た樹が見えてきた。上を見ると、枝から果実の名残のようなものが釣り下がっていた。この姿からこの樹はリョウブと分かった。樹皮が剥げ、つるつるした幹をした樹にはリョウブの他、サルスベリ、ナツツバキなどもあり、見分けるのがなかなか難しい、つい先日も備中松山城から山を下ってくるとき、同じ樹が何度も出て来たが、冬芽を見るまではリョウブと分からなかった。
リョウブの幹
リョウブの果実の名残
撮影:11月26日
記 平成30年11月30日(金)