四季の森公園「シダの観察会2」
6月24日(日)
場所をはす池の前庭へ移動して、ケヤキの植込みの石垣を見た。ここにはカニクサ(ツルシノブ)がある。カニクサは三ツ池公園でも見てきている(資料1)。資料1では、「牧野新日本植物図鑑によると、関東地方以西の山野に普通見られるつる状の多年性草本で、地上部は全てが葉である。・・・子供がこの蔓でカニを釣ることがあるためで・・・」ことから、これがシダの仲間ととらえていた。しかし詳細については調べていなかった。カニクサの葉の中には胞子葉と栄養葉がある。2種類あるようだが、胞子葉は栄養葉が変化して出来るという。栄養葉の先端に胞子が出来ると葉の幅が狭くなり、縮れた感じになるという。写真の左側が胞子葉になるとの説明があった。
資料2:http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/pteridophyta/schizaeaceae/kanikusa/kanikusa.htm8494
カニクサ
次はヤブソテツを見た。これは今までのシダと違い、葉身が細かく刻まれていない。下記の資料を見ると、ヤブソテツの仲間は6種類挙げられていた。これを知り、「こんなにもあるのか・・・」と思った。それでも、身近に見られるのはヤブソテツとオニヤブソテツということだった。2つは、側羽片の幅と数が大分違い、ヤブソテツは幅狭く、20対前後になると記載されていた。写真は10対である。側羽片の幅は広く見えるが、オニヤブソテツを探して比較しないと確かなことは言えない。
ヤブソテツ
ゼンマイが紹介された。名前はよく知っているが、実物はよく分からなかった。葉身は、三角状広卵形、2回羽状複葉で、小葉には切れ込みがなく、縁が波を打っている。下記の資料によると、『「銭を巻く」という言葉がなまって、「ゼンマイ」となった。』とあった。牧野新日本植物図鑑によると、「銭まき」の意味とある。胞子葉の最初の丸い形を貨幣に例えたらしい。
ゼンマイ
夏緑性のミドリヒメワラビが紹介された。イヌワラビ、オオハナワラビに続いての3番目のワラビである。「イヌワラビは葉軸が紫色をしている。オオハナワラビは裸葉(栄養葉)の基から胞子嚢穂の茎が出る」という特徴があった。3つのワラビを見ると、羽片が互生になっている点は共通している。葉身は、2回羽状複葉の大きな三角形をしている。「ミドリヒメワラビの小羽片基に短い柄がる(足がある)がヒメワラビの小羽片基には短い柄がない」とミドリヒメワラビとヒメワラビの違いについて説明があった。
ミドリヒメワラビ
ミドリヒメワラビ:小羽片基に短い柄がる(足がある)
水路の上にある橋から下を覗き込み、左奥にミドリヒメワラビがあり、右にはゲジゲジシダがるとの説明があった。上から見ると少し離れているので、それぞれの特徴が摑めなかった。ミドリヒメワラビの短い柄を探したが、ここからは確認が出来なかった。一方、ゲジゲジシダの方の葉は先程のものと似ているが、葉の基が隠れていたため、魚型が捉えられなかった。
左奥:ミドリヒメワラビ 右:ゲジゲジシダ
参加者の中から右手に何かがあると指摘があった。すると、あれは「オオバナイノモトソウ」との説明があった。初めて聞く名前で、覚えにくい名前である。ヤブガラシなどに隠されて全体像がつかめなかったが、縁が波を打った細長い布のように見えた。下記の資料によると、「羽片の辺縁は鋸歯状で基部が中軸に流れて翼とならない」とある。小羽片は細長く、縁が波を打っている。縁の糸状のような鋸歯は何とか分かる。イノモトソウとの比較で、イノモトソウの中軸には羽があるが。オオバナイノモトソにはないとの説明があった。下記の資料のイノモトソウを見ると、違いが分かった。
オオバナイノモトソウ
芦原湿原沿いに進み、コナラの樹のところへやって来た。コナラの樹の窪みにノキシノブが出現していた。こういう光景はよく見かけるが、ノキシノブそのものはよく見ていなかった。ノキシノブはシダ特有の羽片に分かれず、細い葉が小株をつくる様に点々としている。牧野新日本植物図鑑によると、「葉は接近して根茎上に出て並んでいるので、束生しているように見える」とある。更に、「葉は全縁で、先端は鋭尖し、基部は次第に狭くなり、短い柄に変わる」とある。この辺も正確には掴めなかった。
ノキシノブ
撮影 6月18日
記 平成30年6月20日(水)