黒部で見た樹木 2
11月12日(木)
カシワの見つかったところを見ると、まだ色々な樹木がありそうだ。しかし、残念ながら多くの樹木の名前が分からない。目立ちそうな樹木を探すと、カシワと同じように黄色く染まり始めている葉が見つかった。
試料1
葉の形は楕円形をしている。名前を知るためには手掛かりを探さなければならない。写真を撮りよく見た。葉柄はほとんどなく、葉は奇数羽状複葉をしているようだ。これだけを手掛かりにして
・北陸(新潟・富山・石川・福井)
・落葉樹
・奇数羽状複葉
・卵形・楕円形
・鋸歯がある
にチェックを入れて検索すると、27種類の樹木の葉が検索された。この中で近いものを選択すると、ニガキとアオダモに絞られた。葉の鋸歯の部分を見るとニガキに近いが、ニガキだと小葉が4-6対もあり、試料1とは違いすぎる。試料1には小葉は2対しか見つからない。アオダモの資料を当ると、小葉は2対になっている。アオダモだとすると、試料1の鋸歯が細かい気がする。何方になるのだろうか。それとも、この2つとは違うのだろうか。
アオダモ?
試料2
ミズキの葉に似た樹木が見つかった。こういう深山にもミズキがあるのだろうか。葉を見ていると、どことなく違っている。どこが違うのか、花や果実でもあればと思ったが、そういうものはない。図鑑を見ると、ミズキは葉が互生である。試料2を見ると、対生になっている。「ここが違っているのか」と思った。そこで試料2についても試料⒈のとき同様に検索すると、クマノミズキの名前に到達した。葉を拡大して見ると、円形に近い葉もある。確かにクマノミズキなのだろか、多少疑問が残っている。
クマノミズキ?
試料3
黄色い大き目の葉も見つかった。ちょっとカクレミノの葉に似ている。カクレミノの葉には色々な形をしたものがあるというので、ひょっとしたらと思ったが、少し大きいようだ。更に見ると、葉の両端の切れ込みの浅さが気になった。再度、樹木検索図鑑に頼ることにした。
北陸(新潟・富山・石川・福井)、単葉、切れ込みがある、全縁とチェックポイントを入れていくと、ダンコウバイの名前が最初に出てきた。葉を見るとそっくりである。まるで偶然ではないかと思った。この検索図鑑の素晴らしさが分かる。
ダンコウバイの葉
ダンコウバイの果実
黒部川の川沿いを歩いた。豊富な青い水が勢よく流れている。流れを追いながら進むと奥まったところに猿飛峡がある。丁度ここで川は右へ折れている。勢いよく流れてきた水がここで曲がるため、小さな渦が出来ている。ここの岩場に1本の枯れ枝があった。黄色くなった葉が付いている。写真に収めて見ると、花の名残が見られた。写真のようにめしべの残りが見えたものとして、ハコネウツギがあったことを思い出した。そこで、ウツギを頼りにして調べていくと、タニウツギの名前が出てきた。決め手は少ないが、この樹はタニウツギと思える。
撮影:11月4日
記 平成27年11月11日(水)