公園の草木

公園の草木の観察記録を書いています。

スダジイとツブラジイの考察

1113日(火)
 
  「葉が大きいスダジイと葉が小さいスダジイ、この2つは同じ種類なのか、それとも別物なのか」
この答えを知りたいといろいろ調べているが、調べるたびに混乱してくる。
 
岸根公園で調べたら
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葉が小さいスダジイ                    葉が大きいスダジイ
 
葉の大きいほうの果実のほうが一回り小さく、先が三角状だった。
 
ところが神奈川公園で見るとこれが逆になっている
 
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葉が小さいスダジイ                    葉が大きいスダジイ
 
イメージ 6イメージ 7  葉が大きいスダジイ  葉が小さいスダジイ                葉が大きいスダジイ  葉が小さいスダジイ
 
岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科植物生態研究室(波田研)」によると
日本植物誌(大井、1983:至文堂)では、スダジイとツブラジイの違いは、
 「スダジイはツブラジイに比べ、枝は太く、葉は厚くて少し大きく、堅果もやや大型で卵状長楕円形、樹皮は早くから裂けて割れる。」
 
 
 
 
 
 
 葉を確かめてみると、表面はどちらも濃緑色、裏面を見ると大きいほうは茶褐色、小さいほうは黄褐色~銀褐色と多少の差が認められる。そして、どちらにも細かい毛がたくさんある。大きいほうの毛のほうが多少長いようだ。大きいほうの葉がやや厚く、厚みに違いがあった。
イメージ 8イメージ 3 葉の表 葉が大きいスダジイ  葉が小さいスダジイ  葉の裏 葉が大きいスダジイ  葉が小さいスダジイ     
山崎敬・真柴茂彦.1987.日本、朝鮮、台湾におけるシイノキ類の分類の再検討(1,2), 植物研究雑誌 62289-298, 332-339によると
 スダジイとツブラジイの区別は、果の長さによる。ツブラジイでは直径が10mm以下、長さは直径と同じか2割増し程度でほぼ球形であるのに対し、スダジイでは長さが直径の1.5倍から2.0倍になる。
 
実際に測ってみた
岸根の資料では
葉の小さいほう 高さ2cm、幅1cm…A     葉の大きいほう 高さ1.5cm、幅0.8cm…B
神奈川公園の資料では
葉の小さいほう 高さ1.5cm、幅0.8cm…C   葉の大きいほう 高さ1.7cm、幅1.1cm…D
なんだか変で、逆転していることが分かる。Bについて再度調べる必要が出てきた。この資料だけだと、どれもスダジイになりそうな気がする。
資料
 
「木のメモ帳」によると
都内で目にするシイノキはすべてスダジイ(イタジイ)で、ツブラジイ(コジイ)を見ることはない。
 
すると、植樹されていない限り横浜あたりではツブラジイを見ることはないことになる。従って、2つの公園のもの中にツブラジイに該当するものはないことになる。岸根公園の目録にはツブラジイは載っていない。
葉の厚みには多少の違いが認められるので、さらに調べる必要はあると思っているが、中間的なものが結構あることを考えると、なかなかスダジイ、ツブラジイの判定は難しいと考えられる。
 
記  平成241113日(火)