四季の森公園「イノコズチ、ミズヒキ、ジュウモンジシダ、ミドリヒメワラビ、オオバイノモトソウ、ゲジゲジシダ」
7月31日(火)
花の樹園の奥へ進み始めると、イノコズチが見えてきた。上の方には花序が出始めている。イノコズチにはヒカゲイノコズチ、ヒナタイノコズチがあり、この区別が難しい。ここは環境から考えると、日陰になるのでヒカゲイノコズチになると考えられる。ヒカゲイノコズチはヒナタイノコズチに比べると、葉の表裏の毛が少ない。葉の表面を見ると、毛はあるが、やはり少ないと見える。花がどうなっているか見ると、これがやはり分かりにくい、花が終わると、小花は下へ向きを変え、枝に沿うようになるのだが、下の方はそのように見えるが、上の方はどちらなのか分からない。
イノコズチ
ヒカゲイノコズチ:毛が少ない
花序
ミズヒキも花序を長く伸ばし大分咲いてきた。花は、下が赤く、上が白く見える。この花はまだよく開いていないようだ。花が開くと、ミズヒキの花被片は先が4つに分かれ、上の3つが赤く、下の1片が白いのが分かる。ここの奥へ入ってきたのはジュウモンジシダの写真を撮るためだったが、ここまで来て、この道は1本手前の道だと気が付いた。
ミズヒキ
一端ショウブ園へ戻り、ジュウモンジシダのところへやってきた。ジュウモンジシダは先日も見ている。葉身は1回羽状複葉で、最下位羽片だけが特別に大きく、更に羽状に分裂している。この葉身の形が十字形になっていることからジュウモンジシダの名前が付けられたという。葉柄20cm、葉身40cmと葉身が葉柄の倍近くあった。牧野新日本植物図鑑をはじめいろいろな資料に「葉柄の下部に淡褐色または褐色で卵状長楕円形を呈する…鱗片を生じている」とあるが、薄い鱗片は分かるが、形までは捉えられなかった。胞子嚢は羽軸に沿って小羽片の中央に分布していた。
ジュウモンジシダ
ジュウモンジシダ:柄の鱗片
これは何遍も登場してきたミドリヒメワラビになりそうだ。2回羽状複葉で、小羽片はさらに深く切れ込んでいる。羽軸には平たい翼がある。小羽片の切れ込みも中肋までは達していないので、中肋にも翼があると見た方がよさそうだ。更に、小羽片は切形で、短い柄で羽軸へとながっている。中肋の表面には凹みがあり、それが羽軸へ届いている。馬蹄形をした胞子嚢の分布を見ると、中肋側に分布している。これに似たんのにヒメワラビがあるが、こちらの小羽片には柄がなく、斜めに広いくさび形をして羽軸へつながっている。
ミドリヒメワラビ
ミドリヒメワラビの胞子嚢の分布
再び、ショウブ園へ戻り、先日よく見てなかったオオバイノモトソウのところへ移動した。オオバイノモトソウは芦原湿原から流れ出た水が蓮池へ通じる水路の脇にある。オオバイノモトソウはイノモトソウのところで1度触れている(資料)。2つの違いは「イノモトソウの中軸には翼があるが、オオバナイノモトソウにはない」とのことだった。オオバイノモトソウの中軸を見ると、そこには翼がなかった。
オオバイノモトソウ
オオバイノモトソウ:中軸には翼がない
この一角で、水路を隔てたところにゲジゲジシダがある。先日は一部分しか見られなかったので、今日は近くへ行き、接写写真を撮った。葉身は1回羽状複葉で、中央の幅が一番広く、頂部と基は幅が狭また楕円形をしている。小羽片の基には三角状の翼が見られる。全体に毛が多く、小羽片の裏には縁に沿うように胞子嚢が密に並んでいる。
ゲジゲジシダ
ゲジゲジシダの中軸と羽片
ゲジゲジシダ:胞子嚢の分布
撮影:7月18日
記 平成30年7月27日(金)